単焦点レンズを1本足したい。けれど24mmと85mmでは、撮れる写真も立ち位置もまるで別物です。Nikon Zマウントの単焦点は「明るいからボケる」という一点だけで並べると、かえって選べなくなります。
この記事では、画角(どこまで入るか)・開放F値(どれだけ明るいか)・最短撮影距離(どこまで寄れるか)の3つで、Nikon Zの単焦点5本を比べます。先に結論だけ言うと、フルサイズ機で周囲ごと写したいなら28mm、日常のスナップなら40mm、一歩引いて主役を切り取るなら50mm、人物をしっかり浮かせたいなら85mm。
DXフォーマット機(Z50IIやZfc、Z30など)を使っている人は、日常向けの36mm相当としてDX 24mm f/1.7が候補になります。
Nikonのラインアップ全体を先に見たい方はNikon Zレンズの全体像をまとめた記事から、ボディをまだ決めていない方はNikon Zボディの比較記事から読むほうが近道です。
Nikon Z単焦点の早見表
「相当」はDXフォーマット機に装着したときの画角の目安で、焦点距離やF値そのものが変わるわけではありません。
| レンズ | 開放F値 | 最短撮影距離 | 質量 | 向いている場面 |
| Nikon NIKKOR Z DX 24mm f/1.7 | f/1.7 | 0.18m | 約135g | DX機で36mm相当。手前も背景も入れる日常 |
| Nikon NIKKOR Z 28mm f/2.8 | f/2.8 | 撮像面から0.19m | 約155g | 街や室内を周囲ごと写す |
| Nikon NIKKOR Z 40mm f/2 | f/2 | 撮像面から0.29m | 約170g | 見たままに近い距離感のスナップ |
| Nikon NIKKOR Z 50mm f/1.8 S | f/1.8 | 撮像面から0.4m | 約415g | 一歩引いて主役を切り取る |
| Nikon NIKKOR Z 85mm f/1.8 S | f/1.8 | 撮像面から0.8m | 約470g | 距離をとって撮る人物 |
最短撮影距離は撮像面(ボディ側の記号がある位置)からの数値です。レンズ先端から測った距離ではないので、実際にレンズ前面から被写体までの間隔は表の数字より短くなります。
Nikon Z単焦点のおすすめ5本
最初にDX専用の24mmを取り上げ、その後にフルサイズ対応の28mm・40mm・50mm・85mmを並べています。同じボディで同じ大きさに被写体を写す場合は、焦点距離が長いほど離れる必要があります。
Nikon DX 24mm f/1.7
正式名称はNIKKOR Z DX 24mm f/1.7。DXフォーマット専用の単焦点で、画角は35mm判換算で36mm相当にあたります。
DX 16-50mmのキットズームなら、24mmに合わせて写る範囲を確かめてみてください。その画角をよく使う人にとっては、慣れた距離感で室内の撮影に使える選択肢です。広角端の16mmより写る範囲は狭くなるので、広さを求める買い足しとは分けて考えます。
フルサイズの撮像範囲を使いたい場合には向きません。たとえばZ5IIは、DXレンズを装着すると撮像範囲がDXに固定されます。画像サイズL同士では、FXの6048×4032ピクセルに対し、DXは3984×2656ピクセルになります。
フルサイズ機で使うなら、次の28mmのほうが素直です。

Nikon Z 28mm f/2.8
正式名称はNIKKOR Z 28mm f/2.8。フルサイズ対応で約155g、レンズマウント基準面から先端までの長さは約43mmです。
28mmの価値は「後ろに下がれないときに助かる」ことです。狭い路地、テーブルの向かい側、子どもと手をつないだままの距離。
同じ立ち位置の50mmよりも、広い範囲を入れられます。周囲の様子ごと残したい人には、この画角が合います。
いっぽう開放はf/2.8で、5本のなかではF値がもっとも大きいレンズです。近くの被写体に寄れば背景をぼかせますが、人物の背景を大きくぼかすことが主目的なら、撮影距離を確保できるかも含めて50mmや85mmと比べたいところ。

Nikon Z 40mm f/2
正式名称はNIKKOR Z 40mm f/2。約170g、全長約45.5mmの小型レンズです。
28mmほど広くはなく、50mmほど寄りでもない。この中間が40mmです。フルサイズに付けるかDX機に付けるかで、同じレンズでも受け持つ役割が変わります。
不向きなのは、遠くの被写体を大きく写したい場面。運動会や発表会のように距離を詰められない撮影では、焦点距離が足りません。そこは望遠ズームの担当です。
最大撮影倍率は0.17倍。小さなアクセサリーなどを画面いっぱいに写すことが目的なら、接写用のNIKKOR Z MC 50mm f/2.8も候補です。Nikon Zレンズの種別比較で、マクロレンズの項目を確認できます。
Nikon Z 50mm f/1.8 S
正式名称はNIKKOR Z 50mm f/1.8 S。フルサイズでは標準域、DX機では75mm相当の画角になる単焦点です。
40mm f/2との明るさの差は約1/3段。選ぶ際には、画角と撮影距離の違いも確かめたいところです。
50mmは40mmより狭いぶん、同じ大きさで人を写すには少し後ろへ下がることになる。その一歩が、背景から余計なものを外してくれます。被写体をその場から切り出す感覚に近いのが50mmです。
不向きなのは、下がる余地のない室内と、軽さを最優先する持ち出し。415gは28mmや40mmの倍以上あります。
カバンに入れっぱなしにする1本というより、撮る目的があるときに持ち出す1本。DX機に付けると75mm相当になり、室内では写したい範囲が収まるかを先に確かめたい画角です。
Nikon Z 85mm f/1.8 S
正式名称はNIKKOR Z 85mm f/1.8 S。距離をとれる場所で人物を撮りたいときに候補になる、中望遠の単焦点です。
85mmで上半身を写すには、被写体から数歩ぶんの距離が要ります。公園や広場ならちょうどいい。
室内では、部屋の奥行きによって後ろへ下がる余地が足りなくなることもあります。背景のボケに惹かれて選ぶ前に、いつも撮る場所で必要な距離をとれるか確かめておきましょう。
最短撮影距離0.8mという数字も、あらかじめ知っておきたいところ。0.8mより近くではピントが合いません。小物を大きく写すことが目的なら、最短撮影距離だけでなく最大撮影倍率も確認したいところです。

Nikon Z単焦点の選び方
ボディのフォーマット、普段使う焦点距離、撮影場所の広さから順に確かめていきましょう。
ボディのフォーマットを確認する
Z50IIやZfc、Z30はDXフォーマット。Z5IIやZf、Z6IIIはフルサイズです。DX機では写る範囲が狭くなり、35mm判換算でおよそ1.5倍相当の画角になります。
24mmなら36mm相当、40mmなら60mm相当、85mmなら127.5mm相当。焦点距離やF値そのものが変わるわけではありません。ここを混ぜて考えると「思っていたより狭い」が起きます。
今のズームで使う焦点距離を見る
いちばん確実な手がかりは、すでに撮った自分の写真です。気に入った写真の撮影情報(Exif)から、よく使う焦点距離を確認できます。
DX 16-50mmの24mm付近が多いならDX 24mm、フルサイズ用ズームの40mm付近が多いなら40mmが比較の入口。広角端の16mmをよく使うDXユーザーには、36mm相当のDX 24mmでも狭く感じる可能性があります。
キットレンズの次を具体的に決めたい人には、キットレンズの不足から2本目を診断する記事のほうが手順まで踏み込んでいます。
後ろに下がれる距離を数える
単焦点はズームできません。同じ構図にしたいとき、後ろへ下がる余地があるかが選択を左右します。
フルサイズ機で室内中心なら28mmから40mm、距離をとれる屋外で人物を撮るなら85mmが候補。DX機では同じ焦点距離でも画角が狭くなることを忘れないようにしましょう。
明るさと手ブレ補正を分ける
F値を小さくできると、同じ明るさ・ISO感度の条件ではシャッター速度を上げられます。動いている子どもや犬を止めたいときに効くのは、このシャッター速度のほう。手ブレ補正が抑えるのは撮影者の手の揺れであって、被写体の動きは止まりません。
ボディ内手ブレ補正はZ5II、Zf、Z6IIIに搭載され、Z50II、Zfc、Z30にはありません。補正の有無にかかわらず、被写体の動きに合ったシャッター速度を選ぶことが先です。ボディ側の仕様はNikon Zボディの比較記事で確認してください。
軽さで選ぶなら日常向けの3本
この5本で軽さを優先するなら、200gを切る28mmと40mm、DX専用の24mmが候補です。フルサイズ用を持ち歩きやすさで比べたい方は、26mm・28mm・40mmを扱う日常向けの軽いNikon Zフルサイズ用レンズ5選へ。
メーカーも含めて単焦点を比べたい方は、各メーカーの初心者向け単焦点レンズ比較も参考になります。
Nikon Z単焦点のまとめ
最初に決めたいのは、普段の撮影場所で必要な画角です。DXのキットズームで24mm付近をよく使うならDX 24mm f/1.7、フルサイズ機で人物を撮れて十分に距離をとれるなら85mm f/1.8 S。センサーサイズと立ち位置を合わせて考えると、候補を絞れます。
同じf/1.8でも50mmと85mmは別の道具です。決め手になるのは明るさの数字ではなく、撮る場所で何歩下がれるか。
まずは手持ちの写真の焦点距離を見てから選ぶと、外しにくくなります。判断がつかないうちは、短期間レンタルして自分の生活動線で試すのも一つの方法。
Nikonの機材選び全体を見渡したいときは、Nikonのカメラとレンズをまとめた入口の記事から辿ってください。ズームやマクロも含めた種別ごとの比較はNikon Zレンズの全体像をまとめた記事にあります。
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