Eマウントの広角単焦点は、とにかく本数が多い。SONY・SIGMA・TAMRONが同じ画角に何本もぶつけてくるので、比べ始めた時点で迷子になります。
でも、選ぶ順番を間違えなければそんなに難しくないと思っています。先に決めるのは「何mmか」で、メーカーやF値はそのあと。14mmと24mmでは、そもそも写る範囲が別物だからです。
この記事は、フルサイズ用の14mm-28mmを画角ごとに整理しています。各レンズにレンタル料金の比較カードが付いているので、気になった1本がいくらで借りられるかはその場でわかります。
なお、APS-C用のレンズはここには入れていません。同じ16mmでもAPS-Cだと写る範囲が違うので、並べると比較が壊れます。35mmも「準標準」として別記事で扱っています。
広角単焦点から入るべきか、標準ズームや高倍率ズームまで含めて迷っているなら、SONY Eマウントレンズの選び方から先に絞ると選びやすいはずです。
SONY・SIGMA・TAMRONの広角
まず全体像から。焦点距離の短い順に、SONY・SIGMA・TAMRONの11本です。
広角単焦点は何mmで決まる

広角レンズの違いは、画質でもF値でもなく「何が画面に入るか」です。数字が小さいほど広く写り、そのぶん近くのものが大きく、遠くのものが小さく写ります。
ざっくりした目安はこうです。
迷ったら、自分が「あと何歩下がりたかったか」で考えるのがいちばん早い。下がれずに諦めた写真が多い人ほど、数字の小さいほうが効きます。
逆に、広く写りすぎて主役が小さくなるのが不安なら24mmや28mmから。ここから下は、画角ごとに実際の候補を並べていきます。
もうひとつ、最近の広角レンズは歪みをカメラ内やRAW現像で補正する前提で設計されています。おかげで軽く小さくなった反面、補正で画像を引き伸ばすぶん四隅のディテールが甘くなり、実質の画角がカタログより一回り狭くなることもあります。
14mm:SONYの超広角GM
14mmは、下がれない場所のためのレンズです。狭い室内、建物の真下、夜空。どれも「もう一歩下がる」ができない状況で、画角そのものが解決策になります。
SONY FE 14mm F1.8 GM(SEL14F18GM)
460gしかない。14mmでF1.8という組み合わせは選択肢がほとんどないので、Eマウントでこの画角を明るく撮りたいならここが出発点になります。
解像力の評価が高く、逆光でも破綻しにくいという評価をよく見ます。太陽を画面に入れるマジックアワーや、光源が直接入りやすい星景・夜景で効いてくる部分です。
ただ、14mmは常用しにくい画角でもあります。旅行に1本だけ持っていくレンズではなく、撮る対象がはっきり決まっているときの道具だと考えたほうがいいと思っています。
20mm:3メーカーが並ぶ画角
20mmは、14mmほど極端ではないのに、しっかり広い。風景を大きく入れながら、手前の被写体も見せられるバランスの画角です。
Eマウントではここに3本が並びます。F1.4・F1.8・F2.8で、重さが3倍近く変わるのがおもしろいところ。
ただ、20mmは評価が割れる画角でもあります。レビューを見ていくと「持ち出す頻度が少なくなった」「思ったより難しかった」という声が一定数あり、作例も風景・星景・建築に寄りやすい。撮りたいものが決まっている人ほど強く効く画角だと思っています。
SONY FE 20mm F1.8 G(SEL20F18G)
明るさと軽さの落としどころとしては、この3本のなかで真ん中です。20cmを切るところまで寄れるので、広く写しながら手前を大きく見せる撮り方もできます。
動画を撮るならこの1本が無難です。AFがリニアモーター駆動で静かなうえ、ピント送りで画角が変わるフォーカスブリージングも抑えられていて、Vlogやジンバル撮影での評価が安定しています。
SIGMA 20mm F1.4 DG DN Art
F1.4という一段の明るさに、630gとフィルター径82mmが付いてきます。星を撮る人にとっては迷わず選ぶ理由になりますが、そうでないなら重さのほうが先に効いてくるはずです。
装備が完全に星景寄りです。点光源が尾を引くサジタルコマフレアを開放から抑える設計に加えて、ピントリングを物理的に固定するMFLスイッチ、レンズヒーターのズレ止め、リアフィルターホルダーまで付いています。暗闇で無限遠が動かないという安心は、この用途ではかなり大きい。
TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2(Model F050)
220g。SIGMAの3分の1近い軽さで、しかも11cmまで寄れます。広角のまま思い切り近づくと、背景の広さと手前の大きさが同時に出るので、けっこう独特な絵になると思います。
そのぶん開放はF2.8止まり。暗い場所で粘る用途には向きませんが、日中のスナップや旅行なら不足を感じにくい1本です。
動画では注意が要ります。AFがDCモーター駆動で作動音が入りやすく、ブリージングも目立つため、内蔵マイク収録や大きなピント送りには向かないという指摘が多い。静止画なら周辺までシャープだという評価で、防滴と防汚コートも入っています。
24mm:SONYとSIGMAの激戦区
24mmはEマウントの激戦区で、この記事だけで6本並びます。広く写るのに人やモノの形が崩れにくいので、風景から室内、スナップまで守備範囲が広い。
数が多いぶん、選ぶ軸は3つに絞るとはっきりします。明るさか、軽さか、寄れるか。全部は手に入りません。
ひとつ知っておきたいのは、スマホのメインカメラがだいたい24mm前後だということ。見慣れた画角なので失敗しにくい反面、漫然と撮ると記録写真っぽくなりやすい、という指摘もあります。
SONY FE 24mm F1.4 GM(SEL24F14GM)
F1.4で445gは、この明るさのクラスとしてはかなり軽いほうです。夜景や星景を撮りたくて、なおかつ持ち歩く時間が長い人には効いてくる差だと思っています。
SIGMAの24mm F1.4 Artより65g軽く、フィルターも72mmに対して67mm。星景の装備で選ぶならSIGMA、持ち歩きとAFの素直さで選ぶなら純正、という分かれ方をします。
SONY FE 24mm F2.8 G(SEL24F28G)
162g。長さも45mmしかないので、付けっぱなしにしてもカメラの形がほとんど変わりません。毎日持ち歩く前提なら、明るさより先にこのサイズが理由になります。
同じGシリーズの40mm F2.5・50mm F2.5と外形と重量バランスがそろえてあるのも効きます。ジンバルに載せたままレンズだけ替えても重心の取り直しが要らない、という設計です。
SIGMA 24mm F1.4 DG DN Art
純正のF1.4と比べると65g重く、そのかわり防塵防滴が付きます。屋外の夜に長く据える撮り方をするなら、この差は数字以上に意味があるはずです。
20mm F1.4 Artと同じ星景向けの装備を持っていて、MFLスイッチとリアフィルターホルダーが入ります。24mmで星を撮ると決めているなら、こちらが本命になりやすい。
SIGMA 24mm F2 DG DN Contemporary
F1.4とF2.8のちょうど間で、重さも360gと中間。どっちつかずに見えて、実は「暗所も少し欲しいけど重いのは嫌」という一番よくある要望に一番近い1本だと思っています。
金属削り出しのIシリーズなので、質感で選ばれることも多いレンズです。マグネット式のレンズキャップが付くのもこのシリーズの特徴で、道具として触っていて楽しい、という評価をよく見ます。
SIGMA 24mm F3.5 DG DN Contemporary
11cmを切るところまで寄れて、倍率は1:2。広角で寄る撮り方を試したいなら、24mmではこれが一番はっきりした個性を持っています。
F値を欲張らなかったぶん光学設計に余裕が生まれた、という位置づけのレンズです。レンズ先端から3cmほどまで近づけるので、テーブルフォトや散歩中の小物撮影での実用性が高い。
開放F3.5なので、暗い場所で使うレンズではありません。補正前の周辺光量落ちが目立ちやすいという指摘もあるので、そこを割り切れるかどうかで評価が分かれる1本です。
TAMRON 24mm F/2.8 Di III OSD M1:2(Model F051)
20mmのF050と同じ設計思想で、画角だけ24mmにした兄弟レンズです。フィルター径67mmはTAMRONの大口径ズームともそろえてあるので、PLフィルターを使い回せます。
弱点もF050と同じで、AFの作動音とブリージングは動画向きではありません。静止画で安く広角を1本足したい、という使い方に噛み合うレンズです。
28mm:SONYの広角の入口
28mmは、広角のなかでもいちばん普通に使える画角です。スナップの標準として使っている人も多く、「広角レンズを持った」という感じは意外と薄い。
人間が両目で見ている範囲に近い、とよく言われます。だから力の入った1枚を狙うには物足りない一方、日常を日常のまま写すのには向いている。高級コンパクトの定番であるRICOH GRシリーズが28mm相当なのも、この性格の裏返しだと思います。
SONY FE 28mm F2(SEL28F20)
200gでF2。広角を試したいけれど14mmや20mmは極端すぎる気がする、という人にとっては入りやすい画角だと思います。
逆に、すでに標準ズームを持っている人には代わり映えしにくい画角でもあります。標準ズームのアンケートでも広角端の人気は24mm・20mmが先に来ていて、28mmは「狭いと感じたときに困る」と見られがちです。
単焦点として使うなら話は別で、一歩下がれば済むぶん扱いは素直。ズームの28mm付近を普段どれくらい使っているかを見てから決めるのが確実です。
動画も撮るならSONY純正

写真だけなら価格と重さで選べますが、動画が絡むと話が変わります。ここは3社の性格がはっきり分かれるところです。
TAMRONの2本はAF駆動がDCモーターで、内蔵マイクだと動作音を拾いやすい。外部マイクを使うか、そもそも写真専用と割り切るのが現実的です。
逆に、Vlogやジンバルで回すことが前提ならSONY FE 20mm F1.8 GかSONY FE 24mm F2.8 Gが安全です。値段は上がりますが、あとから「音が入っていた」で撮り直しがきかないのが動画なので。
F1.4は本当に必要か

広角でF1.4を選ぶと、重さとフィルター径が一緒に付いてきます。ここまでに出た数字で並べると、その代償がわかりやすい。
3倍以上違います。フィルターも径が変わるたびに買い直しになるので、価格差はレンズ本体だけの話では終わりません。
星を撮る、暗い室内で撮る、背景を大きくぼかす。この3つに当てはまらないなら、F2やF2.8で困る場面はそんなに多くないんじゃないかなと思っています。
借りて試すか、買うか

広角単焦点は、人によって出番の差がいちばん激しいジャンルです。毎週使う人もいれば、年に2回の旅行でしか出さない人もいる。
なので、どちらが得かは一律には決まりません。判断の材料はこのあたりだと思っています。
とくに14mmや20mmは、店頭で構えただけでは判断しにくい画角です。1日でも自分の撮る場所に持ち出すと、買うべきかどうかがはっきりします。
各カードの料金は取得時点のもので、送料や最低利用期間もそこに出しています。総額で見ると順番が変わることがあるので、日額だけで決めないほうが安全です。
まとめ:SONYもSIGMAも画角から

Eマウントの広角単焦点は本数が多いぶん、メーカーやF値から入ると決まりません。先に14mm・20mm・24mm・28mmのどれかを決めて、そのなかで明るさと重さを天秤にかけるほうが早いはずです。
もし24mmと35mmで迷っているなら、35mmは広角というより準標準に近い画角です。そちらは別の記事で整理しています。
