Eマウントの標準ズームで最初にぶつかるのは、純正の24-70mm F2.8が高い、という壁だと思います。同じF2.8通しでSIGMAとTAMRONが半額近い値段で並んでいるので、なおさら手が止まる。
この記事は、その「純正かサードパーティか」を判断するために書いています。ただ、いきなりメーカーで比べても答えは出ません。先に決めるのはF2.8が要るかどうかで、メーカーはそのあとです。
標準ズームの値段は、ほぼ明るさで決まっているからです。F2.8通し・F4通し・可変絞りで、値段も重さもきれいに段が付きます。だから明るさから入ると、候補が一気に3分の1になる。
扱うのはフルサイズ用の10本です。APS-C用は同じ焦点距離でも写る範囲が変わるので、並べると比較が壊れます。各レンズにレンタル料金のカードを付けているので、実際に借りるといくらかはその場で確認できます。
SONY純正とサードパーティの全体像

まず全体像から。明るい順ではなく、この記事で扱う順に10本を並べます。F2.8通しが5本、F4通しが2本、可変絞りが1本、そしてF2とF1.8が1本ずつです。
SONYのF2.8が要るかで決まる

標準ズームは、どれを選んでも24mmから70mm前後という似た画角をカバーします。違うのは開放F値で、そこに値段と重さがぶら下がっている。
まず、この3つのどれを買っている(借りている)のかをはっきりさせます。
判断の材料になるのは、これまで撮った写真です。室内や夕方以降でシャッタースピードが足りなかった記憶が多いなら、F2.8は効きます。日中の屋外がほとんどなら、一段の差はそこまで出ません。
もうひとつ、ボケの量も明るさで変わります。ただし標準ズームの70mm側で開放F2.8を使ったときのボケは、単焦点のF1.8とはやはり別物です。背景を大きく飛ばしたいだけなら、標準ズームではなく単焦点を足すほうが近道になることもあります。
広角側を担当させるつもりなら、Eマウントの広角単焦点のほうも見ておくと選び方が変わるかもしれません。
ズームと単焦点のどちらにするかから迷っているなら、SONY Eマウントレンズの選び方で先に撮るものと画角を整理してから戻ると判断しやすいです。
F2.8:SONY純正と何が違う
ここがこの記事の中心です。F2.8通しには純正1本とサードパーティ4本が並んでいて、値段の差がいちばん大きく出るところでもあります。
先に結論めいたことを書くと、純正が高いのには理由があります。ただ、その理由が全員に効くわけでもない。数字を見ながら順に並べていきます。
SONY FE 24-70mm F2.8 GM II
695g。このあと出てくるSIGMAの24-70mm F2.8 DG DN IIより軽く、F2.8通しで24mmから始まるレンズとしては、いちばん軽い部類に入ります。
「純正は高いだけ」と思っていると、ここで前提が崩れます。値段が上なぶん、重さでは逆に有利になっている。毎日首から下げる人にとっては、この差がいちばん効くかもしれません。
もうひとつの理由がAFです。純正はボディ側のAF制御と同じ設計思想で作られているぶん、動く被写体への追従や動画でのピント送りが安定しやすい。子どもやスポーツを撮る比率が高いなら、ここは価格差の理由として納得しやすいところだと思っています。
SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II
純正と同じ24-70mmを、同じF2.8通しでカバーします。画角で妥協しなくていいサードパーティは、実質ここだけです。
効いてくるのは最短撮影距離のほうで、ワイド端0.17mまで寄れます。純正の0.21mより一歩ぶん近い。テーブルの上の料理や小物を、広角側で大きく写す撮り方をするなら差が出ます。
代償は重さです。純正の24-70mm F2.8 GM IIより重いので、価格を取るか重さを取るかというきれいな二択になります。フィルター径は純正と同じ82mmなので、ここは買い替えても使い回せます。
SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN
470g。F2.8通しでこの軽さは、ここまでの2本と比べると別のカテゴリに見えます。純正より225g軽い。
そのかわり広角端は28mmです。24mmと28mmの差は数字だと小さく見えますが、狭い室内や建物を入れたいときにはっきり足りなくなります。ここを許せるかどうかが、このレンズを選べるかどうかの分かれ目です。
逆に、ポートレートやスナップが中心で広角端をあまり使っていないなら、失うものはほとんどありません。フィルター径67mmはTAMRONの28-75mmと共通なので、フィルターの使い回しも考えやすい。
TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2(A063)
Eマウントのサードパーティ標準ズームで、いちばん名前が挙がる1本です。540gで、望遠側が75mmまで伸びる。
28-75mmという焦点距離は、24-70mmより「人を撮る側」に寄っています。広角端を5mm捨てて、望遠端を5mm足した構成なので、屋外のポートレートや発表会では使いやすい。
G2はAFがVXD(リニアモーター)駆動になっていて、これは後ろで紹介する旧型のRXDとの大きな違いです。動体や動画でピントを動かし続ける使い方をするなら、ここが値段差の中身になります。
TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD(A036)
G2の前の世代です。ここを隠さず書いておくと、スペック表の数字はほとんど変わりません。550gと540gで10g差、最短撮影距離も0.19mと0.18mで1cm差。
変わるのはAFの駆動方式と、G2で追加された機能まわりです。逆に言えば、静止画中心でAFに不満が出ない使い方なら、旧型でも写るものはそう変わらないということでもあります。
「旧型を安く」という選択肢は、この2本ではちゃんと成立します。レンタルでも新旧が両方そろっているので、値段の差ぶんの価値が自分にあるかを試してから決められる場面です。
TAMRONの高倍率ズームや、APS-C向けの選択肢まで含めて見たいならTAMRONのEマウントズームのほうにまとめています。Canonユーザーで同じ問いを持っている場合は、RFマウントのサードパーティ製ズームが対応する記事です。
SONYは20mm端か105mm端か
F2.8をあきらめると、F4通しに2本の選択肢が出てきます。どちらもSONY純正で、性格は正反対です。
広角側を20mmまで伸ばした軽いほうか、望遠側を105mmまで伸ばした重いほうか。F4通しで迷うときは、実質この二択になります。
SONY FE 20-70mm F4 G(SEL2070G)
広角端が20mm。標準ズームの常識だった24mmより、さらに一段広い。488gという重さもあって、旅行に1本だけ持っていくならかなり強い構成になります。
20mmと24mmの差は、狭い室内で効きます。テーブルの向かいに座った相手の背景まで入れたいとき、下がれないぶんを画角で解決できる。広角単焦点を別に買わずに済む場面が増える、という言い方もできます。
手ブレ補正はレンズに入っていないので、ボディ内手ブレ補正のない機種と組むときは注意が必要です。最大撮影倍率0.39倍とかなり寄れるのも、旅先で1本しか持たない使い方に噛み合います。
SONY FE 24-105mm F4 G OSS(SEL24105G)
望遠端が105mmまで届きます。70mmと105mmの差は、人の顔を大きく写したいときや、少し離れた被写体を引き寄せたいときにそのまま効いてくる部分です。
そのぶん663gあります。20-70mmより175g重いので、荷物として持ち歩く時間が長いほど差が出る。OSSが入っているので、手ブレ補正のないボディでも使いやすいという利点はあります。
選び分けは単純で、これまでの写真がどちら側で足りなかったかを見るのがいちばん早い。「もっと広く入れたかった」が多ければ20-70mm、「もっと寄りたかった」が多ければ24-105mmです。
軽さで選ぶならSONYの167g
明るさを完全に捨てると、重さが桁違いに変わります。ここまで出てきた500-800gという数字が、一気に3分の1以下になる。
SONY FE 28-60mm F4-5.6(SEL2860)
167g。F2.8通しの24-70mmと比べると、実に4分の1近い重さです。フルサイズを持っていることを忘れるくらい構成が軽くなります。
そのかわり失うものははっきりしています。広角端は28mm、望遠端は60mm止まりで、しかも開放はF4-5.6の可変。暗い場所では素直に苦しくなります。
それでも、持ち出さなかった重いレンズより、持ち出した軽いレンズのほうが写真は残ります。旅行や散歩が中心で、荷物を減らすことが最優先ならこの1本は現実的な答えになると思っています。SONYの軽量フルサイズ構成のほうでも、この組み合わせを扱っています。
F2とF1.8は1本目に選ばない
標準ズームには、F2.8よりさらに明るいものが2本あります。ただしこの2本は、万人向けではありません。
数字を見れば理由はすぐわかります。明るさの見返りに、重さかズーム域のどちらかを大きく差し出す設計になっている。
SONY FE 28-70mm F2 GM(SEL2870GM)
ズームでF2通し。単焦点の領域だった明るさを、28-70mmという実用的な範囲で持ち歩けるレンズです。
代償は918gという重さです。純正の24-70mm F2.8 GM IIより223g重い。一段の明るさのために、体感でわかる量の荷物が増えます。
仕事で暗い会場を撮る人や、単焦点を何本も持ち替えたくない人にははっきり刺さる1本です。逆に、その必要が思い当たらないなら、無理に候補に入れなくていいと思っています。
SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN Art
F1.8通しのズームです。単焦点と同じ明るさのまま、28mmから45mmまで焦点距離を動かせる。
ただし、この記事で扱う10本のなかでいちばん重い1本です。SONY FE 28-70mm F2 GMの918gより重く、しかもズーム域は28-45mmしかない。標準ズームというより、単焦点を数本まとめた道具だと考えたほうが近いはずです。
だから、1本目の標準ズームとしては勧めません。すでに標準域の単焦点を複数持っていて、その持ち替えが撮影の邪魔になっている人が、置き換えとして検討するレンズだと思っています。
常用するなら買うほうが安い

先にはっきり書いておきます。標準ズームは、レンズのなかでいちばん出番が多いカテゴリです。毎週カメラを持ち出す人なら、借り続けるより買ってしまうほうが早い段階で安く収まります。
それでもレンタルが噛み合う場面はあります。この記事の中身でいうと、こういうときです。
とくに重さは、店頭で数分持っただけでは判断できません。数万円から数十万円の差がかかっている決断なので、先に1回借りて自分の撮る場所に持ち出すほうが確実だと思っています。
各カードの料金は取得時点のものです。送料や最低利用期間もカードに出しているので、そこまで含めて見てください。日額だけで並べると、総額では順番が変わることがあります。
まとめ:SONYもSIGMAもF値から

Eマウントの標準ズームは本数が多いぶん、メーカーから入ると決まりません。F2.8が要るかを先に決めて、そのあとで24mm始まりか28mm始まりかを選ぶと、候補は2、3本まで絞れるはずです。
そのうえで純正とサードパーティを比べると、差は値段だけではありません。純正の24-70mm F2.8 GM IIは695gでSIGMAより軽く、SIGMAの28-70mmは470gで最短撮影距離も近い。どこを取るかの問題です。
