MFレンズを初めて借りるとき、いちばん気になるのは「AFがなくて本当に撮れるのか」ではないでしょうか。止まっている被写体なら、手順さえ押さえれば十分に狙えます。ただし、借りる前に決めておきたいことが4つあります。
この記事では、SONY E版のZEISS Loxia 2/50とLAOWA 9mm F2.8 Zero-Dを例に、確認の順番と最初の試し撮りの流れを整理します。Nikon Zユーザー向けには、TECHART TZM-02でMFレンズをAF化する別の道も短く紹介。なお、ZEISSとLAOWAのレンズについては、メーカー公式の情報をもとにまとめています。
MFの操作に不安があるなら、静物や風景を撮る日に試すと、ピント合わせに時間をかけられます。動く被写体が中心なら、AFレンズのほうが撮りやすい。借りる前にどちらが必要かを決めておきましょう。
MFレンズの選び方
MFレンズ選びは、レンズ名より先に自分のカメラから始めます。同じレンズ名でもマウントごとに別の版があり、借りるときに選ぶのはその「版」。見る順番は次のとおりです。

例として、SONY Eマウントの2本を並べてみます。
| 確認項目 | ZEISS Loxia 2/50 | LAOWA 9mm F2.8 Zero-D |
| マウント | SONY E用 | SONY E版(FUJIFILM X版などもあり) |
| フォーカス | MF | 借りる版の仕様を確認(Nikon Z版はMF) |
| 電子接点 | 公式製品ページで案内あり | 今回の確認では未確認 |
| 対応センサー | 借りる前に対象ボディと公式仕様を確認 | APS-C用(マイクロフォーサーズ版もあり) |
同じMFでも、電子接点の扱いはレンズごとに違う。Loxiaは、ZEISSのLoxia製品ページで電子信号接点が案内されています。
一方、LAOWA 9mm F2.8のSONY E版は、この記事の確認範囲では接点の有無を確かめられていません。借りる前に、メーカーやレンタル先の商品情報で見ておくと安心です。
電子接点のないレンズを付けると、ボディの設定によってはシャッターが切れない場合があります。SONY α7 IIIの公式ヘルプでは、こうしたレンズで必要な場合に「レンズなしレリーズ」を使う方法が案内されています。メニューの名前や場所は機種で変わるので、手持ちボディの説明書で確かめるのが確実。
同じヘルプには、正確な測光ができない場合があるとも書かれています。試し撮りの画像を見ながら露出を詰めていく前提で臨めば、戸惑いは少ないはず。接点のあるLoxiaで、この設定が必須になるわけではありません。
ZEISSは型番でAFを見分ける
ZEISSのミラーレス用レンズは、シリーズ名でAFかMFかが分かれます。ZEISSのシリーズ紹介ページでは、BatisがAF、LoxiaがMF。「ZEISSだからMF」とは言えません。
商品ページに「ZEISS」と大きく書かれていても、型番を見ずに決めるのは危うい。Batisならピントはカメラ任せにでき、Loxiaなら自分でリングを回して合わせることになります。MFを試したいならLoxia、AFで撮りたいならBatisの側から探す、と分けて考えるとわかりやすいと思います。
LoxiaはSONY E用のシリーズです。Loxia 2/50も、SONY Eマウントのカメラを持っている人向けの選択肢。ほかのマウントのボディに、そのまま付けるレンズとしては選べません。
もうひとつ気をつけたいのが、MFと電子接点なしを同じ意味で考えないことです。LoxiaはMFのレンズですが、公式の製品ページでは電子信号接点が案内されています。「MFなら接点なし」と決めつけず、型番ごとの仕様で判断するのが安全。
LAOWAは版と画角を確認
LAOWA 9mm F2.8 Zero-Dは、公式サイトでAPS-C向けとして案内されている9mmのレンズです。SONY EやFUJIFILM Xなど、マウント別の版が用意されています。
日本公式の発売資料はNikon Z版をMFと明記しています。SONY E版を借りるときも、商品ページでフォーカス方式を確かめてください。
APS-Cで使っても、9mmはかなり広い画角になります。APS-C用として案内されているレンズなので、手持ちボディのセンサーサイズと版をセットで確かめておきたいところ。フルサイズ機で使うつもりなら、その扱いも公式情報で確認しておくと迷いません。
初めてMFで使うなら、風景や建築のように被写体が動かず、落ち着いてピントを合わせられる場面が試しやすいはず。時間をかけられる場所なら、拡大表示でじっくり確認する余裕も生まれます。
注意したいのは、LAOWAというブランド全体がMFではないことです。LAOWA 10mm F2.8 ZERO-D FFの日本公式ページでは、SONY FE版とNikon Z版がAF、Canon RF版とLマウント版がMFと案内されています。
同じブランドの同じレンズでも、マウントによってフォーカス方式が変わる。借りる前には、型番とマウント版の両方に目を通しておくのが確実です。
また、LAOWA 9mm F2.8のSONY E版は、電子接点の有無を今回の確認では断定できていません。接点がない場合は、前の節で触れたレリーズの設定が必要になることもあります。
MFレンズの使い方
撮影前に確認すること
レンズが届いたら、外へ持ち出す前に家で一度動かしておきます。確認するのは次の4つ。
シャッターが切れないときは、レンズの装着とボディの撮影設定を確認します。電子接点のないレンズなら、対応するレリーズ設定も説明書で確かめてください。
静物で試す4ステップ
最初の練習相手は、机の上の小物や窓から見える建物など、動かないもので十分です。

拡大表示の操作はボディごとに違います。Nikon Z6IIの公式マニュアルでは、MFのときにXボタンで拡大でき、カスタムメニューのd11でフォーカスピーキングも使えると案内されています。
これはあくまでZ6IIの例。ほかのNikon Zや別メーカーのボディでは、ボタンやメニューの場所が変わることがあります。
ピーキングは、ピントが合っている範囲の輪郭を色で強調してくれる機能です。SONYの公式サポートでも、輪郭を表示する機能として説明されています。
便利ですが、色が付いたからといってピントが合っているとは言い切れない。あくまで補助として使い、最後は拡大表示と撮影後の画像で確かめます。この流れを静物で何度か繰り返すと、リングを回す方向や量の感覚がつかみやすくなると思います。
TECHARTでAF化する条件
Nikon Zユーザーには、MFレンズをAFで使うという別の道もあります。TECHART TZM-02は、Leica MマウントのMFレンズをNikon Zボディに付けるための電子AFアダプター。日本正規代理店の取扱説明書によると、アダプターがレンズを前後に動かしてピントを合わせる仕組みです。

ただし、どんなMFレンズでもAFになるわけではありません。取扱説明書で挙げられている主な注意点は次のとおり。
説明書は追加のアダプターを介した別マウントのレンズにも触れていますが、すべての組合せで動くと保証しているわけではありません。この記事で例にしたSONY E版のLoxiaやLAOWAも、TZM-02に直接付けるレンズではない。まずは対応するレンズとボディ、ファームウェアの条件を確かめるところからです。
実際の使い心地や細かな制約は、TECHART TZM-02のレビューにまとめています。Nikon ZでMマウントのレンズを使いたい人は、あわせてどうぞ。
借りるか見送るか
MFレンズを借りて試しやすいのは、被写体が止まっていて、ピント合わせに時間をかけられる撮影です。
反対に、走り回る子ども、スポーツ、運動会、動物のように動きの速い被写体が中心なら、AFレンズを選んだほうが撮り逃しは少ないはず。MFを試すのは、急がない撮影の日に回しても遅くありません。
借りる前に確認する4点
マウントとセンサーサイズが合い、最初に撮るものを決められたら、MFを借りてみる理由があります。電子接点やボディの操作が曖昧なときは、メーカーの製品ページと手持ちカメラの説明書を見比べてから決めましょう。
オールドレンズを借りるときの探し方や、気に入ったレンズを手元に置く方法は、関連記事で詳しく整理しています。
